NEOは昨年来から注目を浴びている暗号通貨ですが、日本ではあまり知名度がありません。わかりやすく言うと「統制された中華版Ethereum」です。極めてEthereumを意図したものになっています。

特徴:Ethereumのクローン

NEOは中国のonchain(分布科技)が開発するブロックチェーンで、機能的にはEthereumに酷似しています。スマートコントラクトを生成し、その手数料としてNEOのGASを収めるという仕組みです。

NEOは中国が初めて手掛けたオープンソースのブロックチェーンです。運営会社自体は2014年に設立されており、ICOの開始が2015年、ブロックチェーンの稼働が2016年に行われています。2017年にAntshareからNEOへの名称変更が行われました。

市場は昨年末からNEOを高く評価し始めています。

コンセンサスアルゴリズム:dBFT

BitcoinはPoWによりビザンチン将軍問題を解決したことにより、取引のバリデータを分散化することに成功しました。これは極めて画期的なことです。ただしPoWはASICという専用コンピュータを利用し、膨大な計算資源を投入しているのにもかかわらず、得られる結果が1MBのブロックという状況を生み出しています。

裏を返すと、多数のプレイヤーが参加する状況において「ビザンチン将軍問題」を解いて、常にコンセンサスを導き出せれば、それは必ずしもPoWである必要がありません。NEOはDelegated Byzantine Fault Tolerance (dBFT) を採用しています。直訳すると「委任されたビザンチン障害耐性」ということになります。すごい簡単な例としては、衆議院選挙と衆議院による内閣総理大臣の選出にまあまあ似ています。

ブロックチェーンに記帳する(新たなブロックを生成する)権利を有するBookkeeper(記帳者)をNEOトークン保有者が投票により選出します。さらにBookkeeperの中からランダムに決定された一人の「代表者」と、それ以外の投票者に分かれます。「代表者」がそれまでの取引を記録したブロックを生成します。「投票者」はそのブロックが正しいかを投票します。66%以上の賛成を得ることができれば、ブロックが認められます。

資本を投下して大規模な設備を有する一部の有力なマイナーが力を持つPoWの現状に対して、dBFTは非常に民主的な方法でコンセンサスを獲得するとも言えます。しかし、人間が人間を投票するのでさまざまな「ソーシャルエンジニアリング」が可能でしょう。PoIを採用するとあるブロックチェーンで、大口保有者が、情報劣位の小口保有者に対して取った手段を思い浮かべてください。Bookkeeperの66%をひとつの「党」で占めてしまえば、正当性の担保されないブロックを認めさせることができます。それこそ、現実社会の「代表制民主主義」で何が起きているのかを考えるべきでしょう。

トークン:投票権と手数料の2種類

NEOにはNEO(略称NEO)とNeoGas(略称GAS)という2つのネイティブトークンがあります。

NEOは合計1億のトークンを持ち、トークンはネットワークを管理する権利を表します。権利には取引検証への投票、NEOネットワークパラメータの変更などが含まれます。 NEOの最小単位は1であり、トークンは細分化できません。

GASはNEOネットワーク資源管理の実現のための燃料であり、やはりEthereumのガスに酷似しています。NEOネットワークはトークンおよびスマートコントラクトの運用および保管に費用を課し、それによって検証担当者に経済的インセンティブをもたらし、リソースの乱用を防止する。 GASの最小単位は0.00000001です。

NEOネットワークの起源ブロックでは、1億のNEOが生成され、GASはまだ生成されていません。1億のNEOに対応する1億のGASは特殊なアルゴリズムによって生成されます。 NEOが新しいアドレスに転送されると、生成された後続のGASは新しいアドレスに入金されます。

差別化要因:速い処理

実質的にはonchain社がNEOの開発やガバナンスに影響力を持っています。dBFTの場合は「可決」してしまえばフォークが起きないのでTPS(1秒間に処理出来るトランザクション)はEthereumやBitcoinよりも明らかに速いのです。今後PoSをうまく適用できるかがEthereumの課題ですが、NEOは一応その課題を解決しているのです。

エコシステム:スマートエコノミー

NEOの応用はやはりEthereumと酷似しています。NEOはそれを「スマートエコノミー」と呼んで自身の経済圏を構築するというビジョンを示しています。主要な応用予定範囲としてはデジタル資産・デジタルアイデンティティ・スマートコントラクトという領域を想定しているといいます。分散型取引所、データ取引所、知的財産取引所、予測市場、広告等も視野に入れているそうです。現状走っているプロジェクトであるRed PulseはSteem Itのコピー、NestはDAOのコピーです。

ビジネス:クローンがオリジナルになる

現状はクローンですが、NEOは中国企業の採用を勝ち取れる可能性があると思います。世界最大級の取引所Binanceでは、USDTと交換できる数少ないコインの一つであり、取引量はメジャーアルトコインに匹敵するレベルに達しています。アリババやテンセントもeBayやFacebookのクローンからいまではユニークな企業へと成長しました。

投稿者: Takushi Yoshida

起業家&デジタルビジネスアナリスト。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。ジャカルタで政治経済記者。APEC、ASEAN首脳会議でTPP、ASEAN+3などの地域経済統合をリサーチ。帰国後、米デジタルマーケティングメディアDIGIDAY[日本版]立上げ参画。2017年10月テックビジネス戦略メディアAxionを創業。

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