Uberが金融に参入:今週のAxionサマリ

UberがクレジットカードUber Visa Cardをリリース。配車、フードデリバリーに加え、金融が事業プラットフォームに搭載された形だ。トランザクションの処理にはVISAネットワークを活用している[プレスリリース]

Uber Visaカードを使用すると、購入したすべての報酬を獲得することができます。また、友人と夕食したり、次の旅行を予約したり、Uberを働かせたり、オンラインで買い物をするなど、Uberクレジット(乗り物とUberEATSの両方で使用可能)、キャッシュバック、およびさまざまなギフトカードを使用して報酬を引き換えることができます。

Amazonの決済サービスへの関与の仕方をみると、米国にはテック企業が決済サービスに参入するのに大きな障壁があると考えられる。クレカ会社を保護する形の法規があったり、クレカが社会的な信用を担保するくらい社会に浸透していたりする背景があるのかもしれない。

Squareも裏側は結局はクレカに依存しており、そこが軽くて安いものをつくるための、制約条件になっている。同社がビットコインなどの採用を検討しているというが、ビットコインを利用すれば確かにクレジットカードと既存金融機関のレガシーITインフラを相手しないで済む。ただしビットコイン自体は急激な値上がりと、アービトラージを取るための取引所間でのトランザクションの増加のせいで、手数料が過去最大に高くなっている。

シカゴのCME、Nasdaqに続いて、ついに今週、東京金融取引所もBTC Futureを検討しているというニュース。BTCは今後より流動性を増していくことになりそうだ。

Squareにとって好ましい暗号通貨はビットコインキャッシュやライトコインかもしれない。これらの通貨のトランザクションが確定するまでの間を保証する役割をSquareが保証するという形で、だ。これは日本のbitFlyerが提供するビットコイン決済と同じ仕組みだし、もっと根本を叩いていけばアリペイや>WeChat Payと何ら変わらない。金融機関のレガシーインフラや手数料を交わしているという点が異なる。中国では消費者がお金に辛く、得な方法を自ら構築してしまう性質から、決済手数料が著しく安い。アリペイやWeChat Payと金融機関の間に生じる手数料は先進国と比べて安い。

ただビットコインやEthereumがたったいま高速かつ安価の資金移動を開発しようとしている。かなり未知数な部分がある技術だが、これらがはまると、世界をまたぐ形の資金移動や、デジタル完結系の決済では力強い優位性を発揮するはずで、そういうユースケースは存在する。

アプリマーケティング研究所。「インスタ×ビットコインで「越境フリマ」 女子学生が海外の現地人と「限定グッズ」をインスタDMとグーグル翻訳で取引してる話」

そもそもビットコインの最初のユーザーはグローバルに点在するゲーマーであり、デジタルアイテムの売り買いにビットコインを利用し始めたのだ。 送金に関しては米国のミレニアル世代はVenmoという送金アプリを利用している。Venmoのトランザクションは銀行口座を中継する形の設計で、クレカとあまり変わりはないが、比較的安い。

データ収穫装置の拡大

さて、Uberに話を戻すと、クレカはレストランでの食事、ホテル、航空券、Uberのライドシェアを含むオンラインでの購買にキャッシュバックを用意している。これは他のクレカに対してオトクなキャッシュバック設定のようだ。
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Nick Abouzeid「Uber’s Credit Card Is Bankrupting Restaurants… and It’s All Your Faultは「Uberがレストランの支払いデータやロケーションデータからレストラン産業にデータドリブン帝国を築こうとしている」と予測している。

この新しい支出データによって、あなたが毎日どこに行くのかだけでなく、Uberでの到着後に何をするのかを見ることができます。Uberはチャイナタウンでの夕食、またはThe Missionでのタコスと飲み会のために訪れたことを監視できます。彼らは属性ごとにどのコーヒーやデザートが人気があるのかを正確に知ることができます。彼らは人々のピザや地場醸造のIPAビール、ポテトフライとアイオリディップなどの嗜好を事細かにしることができます。

サンフランシスコではUber Eatsが一年間で2400%成長しているようだ。背景としては多くの住民にとって食事のためにドライブすることが当たり前になっていることがある。

Uberはライドシェアにまつわるあらゆるデータを収集していることで知られている。Uberがクレカが追加してくれるデータから新しいビジネス、価値をプラットフォームに追加することは難しくない。

このクレカからえられるキャッシュバックがUberアップで扱えるようですし、クレカ自体がUber内のペイメントと吸着しており、米国の事情に即した間接的なデジタルウォレット化が完了したとみれる。将来的には送金、決済の機能をユーザーに提供する可能性すらある。

インドネシアに先例

実はUberのクローンとみなされていたインドネシアのGo-Jekがこのサービス先にスタートしている。Go-Jekアプリはバイクタクシーの配車だけでなく、デジタルウォレットの機能がある。送金、支払いが可能であり、ウォレットにお金をためることも可能なので、銀行口座を不要なものにできる。

ソフトバンクやDiDiChunxingらが出資するGrabも同様のサービスを一部のサービス展開国で始めている。同じくソフトバンク出資のインドのライドシェアOlaもデジタルウォレットをアプリケーションのなかに入れようとしている。

FacebookもWeChatのWeChat Payのフィーチャーをインドで試しているし、同国ではAmazonもアリババ+アリペイの決済と同様のプラットフォームの構築に向かっている。新興国のリープフロッグを米国のテックジャイアンとが取り入れる、あるいは追いかけたように見える例は枚挙に暇がない。

経済がスマホやその裏側のクラウドコンピューティング、ネットワークなどから再構成されていおり、とても興味深い事象であり、速度はどんどん早くなっている。


今週は行政やメディアの科学をめぐる問題が浮き彫りなるニュースがふたつ話題を呼んだ。最近のサイエンス、テック界隈の優秀な人材はグローバルテック企業への就職を一番に望んでおり、学位を海外で取得して海外で就職を目指す傾向が生まれてきており、今回のことではずみがついた可能性がある。

PEZYの斎藤氏逮捕

一つ目は、東京地検特捜部がPEZYコンピューティングの代表取締役齋藤氏を逮捕したこと。特捜発の情報がさまざまなメディアで入り乱れており情報の不確実性が高いが、検察は、開発費用を確保するためにNEDOの支援資金をもらっていたことを「詐取」とみなして事件を製作していきそうだ。

特捜に立件された佐藤優の「権力の罠」によると、特捜の官僚は時代の変わり目となる事件を育てることを検察人生上の最大の目標としているケースが多いという。

特捜は失われた20年の間に、かなり強引な立件を何度も繰り返し批判を浴びたせいもあるし、環境の変化もあり近年活躍の機会が減っている。特捜の立件は長い間100%有罪とされてきたが、最近は公判で敗訴することもある。ただし、斎藤氏が勾留と公判、最悪受刑で重要な時間を失うことは間違いない。日本のスパコンの優はAIチップの開発を企図していたという。コンピューティングの未来は視神経を模倣したプログラムであるニューラルネットに傾きつつある。深層学習の開発にはAIチップとニューラルネットの活用が欠かせいないが、日本発のそれはかなり難しくなっていきそうだ。

Winny開発者の天才プログラマー金子勇氏の逮捕となぞらえ、嘆くブログが注目を集めたのでおいておく。

shi3z「齋藤元章さん逮捕について」

あと金子氏などに触れた拙ブログも。「日本社会は心の底から「常識外」の人間を求めている」

日本の報道機関が村中さん受賞を黙殺

英科学誌ネイチャーなどが「困難や敵意にぶつかりながら、妥当な科学や公益に関する事柄の根拠を世界に広める人」を表彰するために創設した賞が京都大医学研究科非常勤講師の村中璃子(りこ) に贈られた。子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)について、科学的な観点から多数記事を執筆し「安全性に関する根拠を明確に示した」と認められた。

接種後に原因不明の痛みを訴える人が相次いでいるとして、日本では2013年に接種の推奨が中止されている。村中氏は「日本ではワクチンの恩恵について信頼性を傷つける誤情報のキャンペーンにさらされている」と批判している。

本件は日本で最も権威的なメディアが村中氏が批判するキャンペーンに全ノリしてしまって前言撤回しづらくて、他のメディアも誤報が怖くて様子見しちゃっているのか、さまざまな政治的機微が働いたのか、分からないが黙殺されている。

村中さん、受賞おめでとうございます!


以下気になるニュース、トピックです。

財政が先進国で最悪の日本にとって税金の無駄遣いをなくすにはEBPMが不可欠だ。今年の予算編成でも、教育の無償化によって誰にどんな効果があるのか、消費税の配分方式を変えると地方は活性化するのか、もっと経済学の知見を生かして判断することはできないものだろうか。

  • The Economist “Google leads in the race to dominate artificial intelligence”

The EconomistAIに関する考察。専門的な言及が少なく、網羅的なので学びやすい。以下の図は急増するAI関連M&A数。

Alpha Go Zeroの教師データなしの強化学習を将棋、チェスでも実行。最初にルールなどを定義して上げたあとは、DeepMindのニューラルネットは数時間の学習でElmoなどの将棋ソフトのレーティングをあっさり凌いだ。Google固有のAIチップの詳細は明らかにされていないが、論文の主張が本当なら、TPUはバケモノ級のAIチップかもしれない。来週はNVIDIAのイベントがあるのでぜひ訪問してみよう。以下はAxionの参考記事。

NVIDIAを脅かす「謎のAI半導体メーカー」

このソフトウェア・テクノロジーは多くの命を救うためのものだ。FacebookはAIを利用した「プロアクティブな探知」機能を実装する。これはコンテンツをスキャンして自殺の可能性を示唆する投稿を抽出し、自殺の危険性が発見されたユーザー、あるいはその友達に対し、必要に応じてメンタルヘルス専門家などのリソースを提供できるようにする。


いい週末を!

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