メルカリの仮想通貨参入は先行者との協業が鍵?

前回の記事でメルカリの金融事業について概説しました。今回はまず、メルカリが暗号通貨(仮想通貨)を導入することを検討します。

メルカリは間接的にデジタルウォレットの役割を果たしています。技術的にはデジタルウォレットと暗号通貨ウォレットは異なります。既存のウォレットに機能追加するという風に開発することはできません。だから’暗号通貨ウォレットを開発するためのハイアリングや企業買収を進めているかもしれません。

暗号通貨取引所のモデルはメルカリにほぼそのまま適用可能だと考えられます。取引所は「ひとつの大きなウォレット」です。その財布の中にたくさんのアカウントがあり、ユーザーが個々にウォレットを持っているように見せかけているのです。アカウント間の暗号通貨の移転は、財布の中で動いているだけです。

取引所でされているトレーディングを、中古品売買のトランザクションに置き換えれば、暗号通貨で回るメルカリになるでしょう。違いは取引所が主に投機のための需要が生じているのに対し、メルカリでは物品の売買のため需要が生じていることです。

人々はメルカリのアカウントに暗号通貨をキープしておくことになるでしょう。そうするとメルカリに預金している恰好で、銀行っぽくなります。円と暗号通貨を交換したい人も出てくるでしょうから、ビットコインの取引所を整備するかもしれません。顧客としては一か所で「両替」して売り買いできた方がいいはずですよね。

仮にメルカリのすべてのトランザクションを暗号通貨に切り替えることを仮定してみよう。メルカリの収益源のほとんどは10%の売買手数料だと考えられます。売上を10倍するとGMV(流通総額)が推し量れるはず。1200億円と仮定します。ビットフライヤーの月間取引量が2017年6月時点で8000億円超で、おそらくいまは1兆円は超えています。だから国内最大取引所の10分の1のレンジのトランザクションをさばくということになります。

ライトニングネットワークの影響

最近ライトニングネットワークが注目を浴びています。ざっくりいうと、すべてのトランザクションを毎回ブロックチェーンに書き込まず「オフチェーン」のたくさんの取引を一度に精算する技術です。これにより手数料の低下と取引承認の高速化を実現します。詳しくは大石哲之氏の記事を参照してください。

この技術が進むと、個人間送金が異様に簡単になります。メルカリが仮にこの技術をもち、大量のトランザクションに耐えうるウォレットを作るとすると、決済手数料の5%程度を大きく圧縮できる可能性があります。中古品の売買なので平均単価は低めでしょうから、5パーセントの決済手数料はセラーにとっては気分が悪い。セラーの取り分の拡大を意味しており、もっとディスカウントしたり、もっとたくさん売ろうとしたりします。これらがGMVを押し上げるかもしれません。

他方、独立心が強かったり行動力のあったりする顧客はあることに気がつくかもしれません。アンバンドルできることにです。

メルカリの顧客体験上の優位性はひとつのアプリ内で所有物の売買が成立し、カードやデジタルウォレットなどで簡単に決済できる、それから配送のサポートもしてもらえ、買い手を探す手間を省いてくれることでしょう。そのうちのひとつである決済を個人で簡単に実現する手段ができつつあるので、Twitter、Facebook、Instagramなどに商品画像を掲示して「ねえ、誰か買わない?」ができるのです。中国を含む新興国ではこれがよく起きています。

メルカリでの体験への満足度は高い印象を受けています。人々は機能からではなく体験を主軸に考えます。アンバンドル派は少数派な気がします。

ライトニングネットワークのノードとチャネルのビジュアライゼーション Via Lightning Network Exploerer

メルカリの最高のシナリオは、ライトニングネットワークを実装する取引所と提携することかもしれません。自信で仮想通貨事業をやるという目標にそぐわないかもしれませんが。

大きな課題がひとつ残っています。暗号通貨の決済も所得税の範囲として課税されることです。個人は暗号通貨取引や決済の履歴もろもろを合算して課税されますが、計算が煩雑すぎて、正直無理でしょう。これじゃあ「日本では」使い道がないよね、となるのではないか、と私は考えています。

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