「ポストGPU」に拍車:NVIDIAのEULA改訂の波紋

NVIDIAのEULA改訂が波紋を広げています。NVIDIAはドライバソフト使用に関するライセンスが改訂し、「GeForceをデータセンターへの導入禁止」の条項が突如追加したものです。深層学習に不可欠な積和演算機能に優れた半導体とAPIを提供しているのが、事実上世界にNVIDIA1社しかいません。ユーザーはNVIDIAの決定に対し他のオプションをもっていません。

WirelessWireNewsの清水 亮さんの記事が情報拡散の発端。「NVIDIAが規約変更によりGeForceのデータセンター利用を制限。大学などの研究活動にも大ブレーキ」。清水さんは英語でも同じ内容の記事を書いています。

Google Brainの@hardmaruなどがこの記事についてツイートしたりとTwitterで話題になり、ドイツでも同様の事案が浮上したのと相まってRedditでも盛んに議論がされました。

米国でも昨日CNBCが、日本でも東洋経済が取り上げました。

今回の改定により小規模の深層学習研究、教育はかなり厳しい状況になりました。深層学習に利用するGPUチップはNVIDIA一択。NVIDIAはデータセンターにおいてGeForceではなくランクが上、価格10倍のTeslaの利用が求められています。

NVIDIAが独占的地位を利用して収益の拡大を図ろうとしている事由です。競合のAMDとOpenCLのコンビネーションはまだまだワークしません。深層学習は極めて重要な研究領域であり、そこに一定の制約を与えられるプレイヤーがいることを印象づけました。

NVIDIAのGPUの売上構成においては、以前としてゲーミングの割合が高いですが、同社の躍進を印象づけ、孫正義のファンドをも5%保有を決定させ、株価の高騰を促したのは深層学習向けの用途です。GPU
に関してはNVIDIAが築いた特許の壁が高く、独占が続きそうです。

多くの深層学習関係者が今回の決定に対し不満を示しており、今後市場投入されるはずのAIチップへの期待を示しています。最も有望と観られているのはGoogleのTPUかもしれません。Jeff DeanらはNIPSでは「TPU2」の詳細に触れた。囲碁プログラム「AlphaGo Zero」の論文ではTPUの活用に触れられており、静かにGPUを上回る学習効率を提供できることが記述されている。Googleはこれをクラウドで提供する考えです。

そして以下の記事で触れているが、AIチップのスタートアップは雨後のタケノコのように存在する。なかでもGraphcoreは極めて注目に値するします。MicrosoftはFPGAに注力し、Intel、Apple、Teslaなども独自AIチップの開発を開始しています。

半導体のコンピューティングパワーの成長は鈍化していることが確かなので、モバイルフォン、自動運転車、IoTなど、特化AIチップが開発されていく可能性が高く、ジャイアントではない企業はそのニッチを狙ってくることも傾向に拍車をかけるかもしれない。

NVIDIAもGPU以降のAIチップを開発していると考えられます。今回のアクションは「GPU以降を望む声」を強める結果となり、NVIDIAが独占を楽しめる時間を短くしてのではないでしょうか。あるいはNVIDIAはこのAIチップ時代を見越した上で何らかの策として今回の行動を起こしたかもしれません。ベンダーサイドや顧客、研究者にしか見えない情報はたくさんあるのでしょう。

eyecatch via BagoGames(CC)

コメントを残す