アドテク最後の審判:デジマ観測

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今までに2億ドル近い投資を受け、2014年にはIPOを検討していたVideologyもまた、売却相手を探しているとGlobal Adtechは伝えています。この記事はアドテク周辺のビジネス状況がまとまっているので、一読を勧めたい次第です。

アドテク企業の市場環境は難しくなりつつあります。その要因は世界最大市場の米国で、GoogleとFacebookのデュオポリー(複占)が進展していることです。デジタル広告に費やされる予算の多くが2社が運営する広告プラットフォームに集中するようになりました。世界最大の広告ホールディングスWPPのCEO、Martin Sorrellが最大の予算配分先が、盟友のルパート・マードックのフォックスではなく、Googleだと語るほどです。GoogleとFacebookの2017Q3決算を見る限り、両者の広告収益成長は著しく、デュオポリーはいまのところ留まるところを知りません。

「カオスマップ」と呼ばれる大量のベンダーが並び立つ状況から、GoogleとFacebookの複占へと業界は移行してきたのです。今回、売却模索報道が出たVideologyですが、私がDIGIDAYに参加する2015年のころは、日本市場でも動画広告のトレンドが盛り上がりの兆しを見せており、とても有望視されていました。実際には急拡大する動画広告市場の勝者もやはりGoogleとFacebookであり、Videologyの広告配信テクノロジーを活用するプレイヤーは2強に伯仲しませんでした。

Global AdtechはAdexchangerを引用してこう指摘しています。

2018年はマーケティングクラウド企業およびプライベートエクイティが、アドテクおよびマーテック(マーケティングテクノロジー)関連の買収を続けると見られています。

マーケティングクラウドを展開する企業はパッケージを提供し、サブスクリプションでソフトウェア利用料を請求できます。Adobe、Oracle、Salesforce(Alphabet順)の3社ですが、このうち1社がDMPを買収すると、残り2社も買収で追いかけるということを繰り返してきました。Videologyは5億ドルの値札を付けているとのことで、キャッシュリッチかつ時価総額の大きい3社は買えなくもない。が、かなり高い買い物になります。もしかしたら、3社のなかでは、動画配信技術はすでに提供していて、クリエイティブソフトウェアを主戦場にし、メディア業界に顧客の多いAdobeが潜在顧客になるかもしれません。Adobeは2016年にTubemogulという動画広告DSPを買収・インテグレートしておりバイサイド側を取り込んでいる。Adobeが動画関連のアドテク能力を更に拡充し、2社にない固有の価値を目指すなら買収は有り得ます。

ビデオオンデマンドの需要は拡大している。Netflix、Amazon、Huluなどはサブスクリプション型を選んでいるが、今後は後発のテレビ事業者・映画事業者が参入してきています。21世紀フォックスを買収しそうなディズニーは、ビデオストリーミングアプリをローンチする準備をしています。そのうち数社かは広告型を選ぶだろう。特に日本のテレビ局はそういう座組で物事を進めているので、有望な顧客かもしれない。だが、5億ドルの値札は高すぎる。アドバイザリーのLumaが相当うまくやらない限りは、もっと低い価格のExitに至るのではないでしょうか。

ただし、Videologyの顧客側では超ダイナミックなM&A交渉が進んでいます。AT&Tとタイム・ワーナーの合併、ディズニーによる21世紀フォックスの買収の二つの案件です。この両者の動きがVideologyの事業売却に大きく影響を与えるでしょう。

もちろん買い手はいるはずです。世界中のいろんなところで、いろいろな通信状態で視聴される動画に対して、レイテンシなく、高品質で、しかもデータでターゲティングされた動画を挿し込むのはとてもややこしいことだからです。

2015年ごろからAdtech領域がM&Aに収斂される予測が目立ち始め、2016年には米国では火が点いていた。VCの資金もそろそろまちきれないでしょう。2018年はアドテクのM&Aの「最後の審判」の年になるのではないでしょうか。

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