デジタルIDで「あなたがあなたであること」を取り返せ

 

予測

  • FacebookやGoogleが握っているあなたのデジタルアイデンティティ(ID)。ブロックチェーンを使うことなどの手段により、あなたはそれを自分自身のもとに引き寄せられる可能性がある
  • 偽造ができない生体認証の方法が確立し、それがあなたの身元証明を引き出す「カギ」になる
  • 国家、国境、大企業からあなたのIDが解放される。あなたは拘束されない自由な個人になる

論拠

あなたが一般的なモバイルユーザーならあなたはFacebook認証と無縁ではないでしょう。面倒な個人情報の入力にもうあなたは耐えられない。だからFacebook認証はとても素晴らしいことのように思えるはずです。

しかし、あなたはFacebook認証が何を意味しているか、考えたことはありますか?

Facebookがあなたがあなたであることを証明しているのです。つまり、現実社会では政府が果たしているような、アイデンティフィケーションの提供者の立場をFacebookが握っていることを意味します。FacebookはあなたのIDにデバイスを横断した行動データを紐付け、デジタル広告をつくることにより、IDをマネタイズする事に成功しているのです。2016年通年の収益は276億ドルであり、そのほとんどが広告によります。

政府が提供するアイデンティティがデジタルの世界では無力です。たとえ、あなたがネットとリアルが結びついた世界を生きていると考えていても、IDのネットとリアルの分離は極めて面倒です。

運転免許証は最もポピュラーなIDですが、それを取得するのに数十万円を要します。パスポートの取得にも同様のコストが求められます。その証明書を発給する主体がもつ独特な論理に付き合わされるハメになり、彼らの不完全なサービスへの対価を負担することになります。

発展途上国にはIDを取得していない人間がたくさんいます。IDを持たないということは種々の社会サービスを受けられないことを意味しますし、そもそもこの世界に「存在しない人間」として存在することになります。ネクストイレブンよりも開発が進んでいない国では、きれいな政府を構築するに時間がかかりますし、きれいな政府ができるかという保証もありません。

ここで妙案があります。それはより民主的で自由なデジタルアイデンティティをつくることです。

ブロックチェーンによるID

国際連合などがデジタルアイデンティティの構築を提唱しています。しかし、国家だけが個人の身元証明を管理するのが正解なのでしょうか。

ブロックチェーンこそが最高のソリューションに見えます。ブロックチェーンはデジタルアイデンティティをあなた自身の管理下に置く機会をもたらそうとしています。最近イニシャルコインオファリング(ICO)を行った、Civicは最も明快な例です。

CivicのChainAuthは現在のインターネットで採用されている認証方法の「OAuth」より優れている可能性があります。OAuthはさまざまな脆弱性を付かれてきて、修復を繰り返してきました。OAuthを利用するとあなたのアイデンティティを認証する第三者が生じます。しかし、ブロックチェーンによる認証を利用すれば、あなたの身元証明情報を握っている第三者はいなくなり、自分自身で管理できます。

そしてそれは短期的にはモバイルアプリという形で操作することができるでしょう。やがて機械があなたの生体を読み取り「ChainAuth」によりあなたがあなたであることを認証します。Google、Amazon、Facebookと現在インターネット上のさまざまな場所においてあるIDをあなたはブロックチェーンにまとめ上げることができます。あなたが利用するサービスはCivicのAPIを叩いてあなたのことを確認しますが、あなたが承認しない限りはあなたの個人情報はサービスプロバイダに渡りません。

インターネットにおいて無料サービスを利用できるのはなぜでしょうか。あなたにまつわるさまざまな情報(閲覧履歴・デモグラフィックデータ・デバイス情報・決済データ)を、デマンドに対して切り売りすることにより成り立っています。人々には公開したい情報とそうではない情報がある。LinkedInを見ればキャリア志向のビジネスパーソンが自身のキャリアとスキルを開示している。だが、密接な関係の人とのコミュニケーションはメッセージングアプリの中にとどめます。Snapchatの見たら消える動画や画像という仕様はその典型です。

国境を頻繁にまたぐ人にとって国家が発給したIDの提示は大変です。国家と国家の間の、国家が「所有」する「国民」の移動を彼らは管理したがるからです。

ChainAuthは世界市民のため認証であり、Civicにはグローバルデジタルアイデンティティになる可能性があります。課題はブロックチェーンが難しすぎることですが、Civicはモバイルアプリと言うかたちでも提供されます。ブロックチェーンのレイヤーはユーザーから隠蔽されることになります。あなたはあなたのアイデンティティがブロックチェーンというセキュアなテクノロジーで守られていることさえ知っていればいいのです。あなたがもつ鍵だけが硬い錠を開けることも。

*情報開示: 筆者はCivicのICOに参加したが、購入できなかった。BTC、ETH、LTCを保有している

生体でブロックチェーンから認証を引き出す

あなたは最終的にパスワードを入力する必要がなくなります。生体情報がそれに取って代わるからです。生体認証を成りすましなどの被害から守るためにプロトコルの策定が進んでいます。

最適な生体がテストされています。必ずしも指紋がいいわけではありません。コピーが容易です。顔認証や虹彩、声帯、指の静脈など候補は枚挙に暇がありません。

dirt-88534_1280.jpg

By byrev / Pixabay

IDのフルコントロールが個人を自由にする

もしあなたが世界中を移動したり、さまざまなeコマースサービスを活用して買い物したり、シェアリングエコノミーを利用したりするとしたら、このような単一のデジタルアイデンティティはとても便利ですね。あなたがデバイスに指紋や顔、虹彩なチェックさせたら、コンピュータはあなたのために住所変更を行い、シェア自転車の鍵がアンロックされたり、スーパーマーケットの決済が完了したりできるようになる時代が近づいています。あなたをめぐるあらゆることをコントロールし、あなたが得られるベネフィットが拡大していく、そういう世界の「鍵」にデジタルアイデンティティはなっていくでしょう。

Written by 吉田拓史 / Takushi Yoshida

コメントを残す