予測

  • GoogleとFacebookの二強支配は年内に米市場の6割を占める。Amazonが購買データを活かしディスプレイ広告市場を切り取るが、二強の成長は追随を許さないレベルに達している。広告主にとっても実質的な得があり、業界内に変化の種はなく、デバイスやコンテンツの進化こそ二強支配を解く可能性が最もある要因だ

AlphabetのQ3が発表された。収益は277億ドル(前年同期比24%増)、他の指標も好調だった。トラフィック獲得コスト(TAC)は前年同期の42億ドルから55億ドルまで増加している点が投資家から突かれたが、極めて好調といっていい状況だ。

デジタル広告市場のもう一強であるFacebookのQ3は日本時間2日早朝に発表される予定だ。広告枠の総数が飽和状態であることが、今後も課題であるが、中期的には動画の積極的な採用で、単価の高い動画広告で解決を図っている。Instagramの好調などから同様の好決算が予想されている。

二強収益シェアは60.7%予測

今年4月のIABとPwCによる「IAB Internet Advertising Revenue Report」とそれに付随する分析では、以下のことがわかっている(参考「デジタルはモバイルオンリーの寡占市場に向かう:今週のデジタルサマリー」)

  • 米国ではデジタル広告市場がテレビ広告市場を超えた
  • 米国のデジタル広告は「モバイルシフト」を終え、「モバイルオンリー」に向かっている
  • デュオポリー(二者独占); GoogleとFacebookは市場の成長の9割を飲み込んだ

eMarkerが9月示した予測では、デュオポリーは予想を上回るレベルで進展し、2017年末には二強の収益シェアは60.7%に到達。レポートは今後も二強の成長は他者を圧迫し、2019年には収益シェアが7割を超えると予想する。

Via eMarketer

2日早朝発表のFacebookのQ3がこの傾向をなぞるものになる公算は高い。

Amazonは3極に食い込む?

以下の予測では最近注目を浴びているAmazonの広告事業はYahoo+AOLのOathにやがて追いつきそうだが、GoogleとFacebookの牙城から程遠い。Amazonが参入しているのは主にディスプレイ広告であり、成長の鈍化が認められるカテゴリーでもある。

ディスプレイ広告市場ではすでに確固たる力をもちつつある。Googleと競争するSSPである「Pubmatic」への私のインタビューを読んでもらいたい。

他方、Amazonは以下の強みを活かせば、より著しく成長する最高シナリオに向かうかもしれない。

  • 豊富な購買データ
  • 広告主、代理店の「第三極」ニーズ
  • コマースというコンバージョンを示せるため、ROIの提示に優れている
  • Googleの独占への不満を「透明性」の名目でまとめあげる

Googleには検索広告とディスプレイ広告における独占があり、動画広告の伸びも著しい。FacebookはセルフサービスのFacebook広告という独自カテゴリを築いている。両者の広告商品は、スケールとターゲティングの双方で、他者の広告商品に対し大きな差をつけている。

DIGIDAY USのSeb Josephは「The truth is most marketers are OK with the duopoly」こう記述している。

二強支配は、小規模のテクノロジー企業、代理店、パブリッシャーにとっては不安に感じられるかもしれない。しかし、大きな広告主にとっては、FacebookとGoogleは巨大なリーチを提供し、「ウォールド・ガーデン(壁に囲まれた庭)」以外の環境で起きているとされている広告詐欺や一貫性のない測定に対しての保護手段を提供している。

二強支配を覆すのは外的要因

両者の二強支配を壊すのはデジタル広告市場のプレイヤーではなく外的要因だろう。つまり、カテゴリー自体の変化だと考えられる。長期的な音声認識アプリケーションの普及や動画、ひいてはVRなど浸透、デジタルデバイスの進化、IoT、AIなどは広告というモデル自体にも変化を強いる可能性があるかもしれない。

将来的には私達のコンピュータの使い方が変わる可能性が高く、象徴的なデバイスのスマートスピーカーに関しては以下の記事を読んでほしい。

特に市場の寡占化はアドテク企業の圧迫要因になっている。定期的に記事を提供するメディアも両者のエコシステムのなかでは大儲けはかなわないだろう。

しかし、二強以外にも生きる道はあるはずだ。Twitterは今期黒字化している。スナップチャットも当初期待された地位は叶わなそうだが、ある程度のポジションにはたどり着けるだろう。Axionも現状全く広告収益を得ていないが、なんらかの道が見つかるはずだ。

投稿者: Takushi Yoshida

起業家&デジタルビジネスアナリスト。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。ジャカルタで政治経済記者。APEC、ASEAN首脳会議でTPP、ASEAN+3などの地域経済統合をリサーチ。帰国後、米デジタルマーケティングメディアDIGIDAY[日本版]立上げ参画。2017年10月テックビジネス戦略メディアAxionを創業。

コメントを残す