暗号通貨の世界では取引所がエコシステムのなかで余りにも強くなってしまいました。一部の取引所事業者は決済まで手を伸ばし、通常の金融サービスにおける銀行やサードパーティの役割も担おうとしています。取引所は「暗号通貨界の銀行」を担おうとしていますが、そもそも暗号通貨は銀行を介さずして個人がバンキングを利用するというビジョンで始まったものなのです。暗号通貨に銀行は必要ありません。

サトシ論文では取引所について言及がされていません。マイニングや交換により人々はビットコインを手に入れ、人と人が直接、価値を交換することができます。そういう人の独立性、非中央集権化がビットコインのプロトコルが柱としてあります。

しかし、この数カ月に取引を始めた初心者は、この前提を聞いたことがないでしょう。金融の世界の常ですが、知らないということは大きなディズアドバンテージに働きます。

直近ではBinanceという香港の取引所がアフィリエイトの報酬を取引手数料の50%と高く設定し、日本人顧客を獲得しています。Binanceは世界一の取引量とブロガーたちは主張しています。それにもかかわらず本サイトのSEOがかなり弱く、アフィリエイターたちの紹介がかなり大きな幅を効かせていると考えていいでしょう。

「バイナンス 登録」でググってみてください。かなり香ばしい並びに出会えるはずです。良識派と思っていたインフルエンサーの人もアフィリエイトの仕組みを批判しながら、アフィリエイトリンクを忍ばすブログを作っていてショックです。ただし多数派の人々の情報取得源がソーシャルやブログ、LINEグループ(暗号通貨界隈にいてLINEで情報交換するという時点で危ない)なのです。

奇妙な情報に踊らされて、特定の仮想通貨の「信者」に収まったり、偽情報に基づいた買い煽りにノッたりと、行動経済学でも解明できない行動が見られます。儲けたい気持ちと知識が奇妙に錯綜をしている様子を見ることができます。そして、界隈ではこの群衆をコントロールする人たちが幅を効かせています。このインフルエンサーたちのなかには取引所や、暗号通貨の創設者グループと近く、煽りを専門とする人が含まれています。ソーシャルプラットフォームではしばしば声が大きい人が勝ちますが、一部のインフルエンサーには本当のことを言う人を毛嫌いし、発見次第、その大きな声で排除しようとする傾向が見てとれます。

初心者換金マシーン

アフィリエイターが誘った仮想通貨取引所もまたビギナーを換金する手法に事欠きません。日本では「FX」が極めて発達していますが、仮想通貨のFXは極めてギャンブル性が高いものです。

取引所は送金に絡んでユーザーが取引所に渡した手数料の一部を、取引所が獲得する仕組みが隠れていたり、必ずしも現物を保有していなかったりします。取引所は暗号通貨とは「法定通貨と交換するもの」と教育しています。でもビットコインはそういう思想のものではありません。

もちろん、すべての人がマイニングをするのは難しく、現在、個人がビットコインのマイニングを行っても損をするだけです。そのため取引所はビットコインを一般層に広めるという点で、エコシステムに貢献しているのは確かです。

繰り返しになりますが取引所は銀行になろうとしています。これだと現代のバンキングシステムと同じことになりますし、ユーザーは見えない手数料を負担する事になります。金融機能をめぐるヒエラルキーや搾取の仕組みから個人を解放するのがビットコインの素晴らしい点です。しかし、最近の傾向を観ていますと、暗号通貨に残されるのが「ボラティリティの高い世界で最も激しいギャンブル」という性質だけになるかもしれません。これだけは矮小化も甚だしいので、なんとしても避けなくてはいけないと感じています。

カジノで勝つ人はほんの少しだけです。訪れる人のほとんどがお金を失って去ることになります。あなたは取引所で常に自分より優位な状況を築いている人たちに囲まれながらプレーすることになります。

Via whekevi

ただ、皮肉なことに仮想通貨の取引所価格高騰が、ブロックチェーンへの興味も同時に引き寄せた面もあります。ドットコムバブルをアナロジーとして考えると、カオティックななかに潜む少ない本物が、次のフェイズを作るのではないでしょうか。

投稿者: Takushi Yoshida

起業家&デジタルビジネスアナリスト。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。ジャカルタで政治経済記者。APEC、ASEAN首脳会議でTPP、ASEAN+3などの地域経済統合をリサーチ。帰国後、米デジタルマーケティングメディアDIGIDAY[日本版]立上げ参画。2017年10月テックビジネス戦略メディアAxionを創業。

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