Ethereumとはブロックチェーンを利用した分散型アプリケーションをつくるためのプラットフォームです。スマホのOSであるアンドロイドのようにたくさんアプリを作れる基盤と考えるとわかりやすいです。ブロックチェーンのアプリを作るには深い専門知識を必要としますが、Ethereumを使うことでそれを簡単にしてしまおう。そういうプロジェクトです。


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Ethereumの上に構築されたアプリは分散化され、潜在的に会社や国によって所有されることがありません。グローバルにアクセス可能で、安全で透明性が高いでしょう。これを分散型アプリケーション、Dappとよびます。アプリ開発者がDappsの特性を決めていきます。

ビットコインをデジタルゴールドとして金に例えることがありますが、Ethereumは「政府」に例えられることがあります。第三者認証、個人認証、各種の登記、フィルタリングと「中央集約型の媒介」の業務でさえ、分散型ネットワークで扱うことが可能で、参加者全員にオープンなのです。

重要な鍵がスマートコントラクトです。この複雑なスクリプトは執行する条件とその契約内容を事前に決めます。条件に合致したできごとが発生すると自動的に執行するのです。さまざまな手続きから中間者を介さないようにする性質をもっています。

例えば、私がある大金持ちの花子と結婚したとします。花子さんはお金目当ての男性をとても警戒しています。「結婚後5年後に花子さんが持っている財産の登記を二人のものにする」というスマートコントラクトをEthereumに書きました。花子さんと私の結婚生活がちょうど5年経ったとき、契約が自動執行されて花子の財産は共同名義になるのです。ここに第三者の介在はなく、私と花子とEthereumのブロックチェーンしか存在しません。とても分散化していますね。

Ethereumは特定企業が所有していないアプリストアと政府と紐付かない資産であるETHを提供します。と同時に、個人や法人の情報を物理的な手段ではなくデジタル上で取り扱える可能性を提供しています。創設者のビタリック・ブテリンはEthereumを「ワールドコンピュータ」と呼んでいます。

スマートコントラクトを利用してトークンを発行できるのはとても重要です。トークンのすごいところはあらゆるものをマーケットに投入できる可能性があることです。

シェアリングエコノミーにおいて大きな可能性があります。例えば私の自家用車は明日12時から18時までの間利用されません。私はその時間帯に自家用車を利用する権利をトークンにして、マーケットに放り込みます。佐藤さんが私のトークンを買って海までドライブに行きました。遊休資産となっていた自動車の利用が最適化されているでしょう。

このトークンを利用してアプリ開発の資金調達を行う手法が、昨今話題になっているICOです。Ethereum基金もこの手法でビットコインとETHを交換することで開発資金を獲得しました。トークンにはデジタルアセットだけど株式のような意味合いを持つものや、アプリのなかで何らかの役割をもつ通貨として働くものなど、さまざまな種類があります。日本のICOは独特な作られ方をしたので、EthereumのICOとは明確に区別されるべきでしょう。

さてEthereumの活用方法ですが、極めてたくさんのものが想定されています。いくつか上げてみましょう。

1. スーパーコンピュータ

Ethereumの分散型コンピュータネットワークをひとつのスーパーコンピュータと考えて、コンピュータパワーを提供するサービスが開発されています。矛盾をはらんでいるかもしれませんが、「分散型クラウド」と呼べるかもしれません。

2. アイデンティティ管理

あなたはデジタル上のIDカードを持つことができます。特定企業に全て一括管理されるなどといったことはなく、各個人がIDを管理できます。

3. 公証、商品追跡

商品がどこからきたのか、文書は本当に正しいのかを追跡したり、公証したりできます。

4. 検閲ができないコンテンツ

ネットワークを支配するプレイヤーがいないという特性からコンテンツの一方的な削除ができないコンテンツプラットフォームをつくることができます。

5. 予測市場

たくさんの人が未来に対して賭けをすることで、予測の精度を上げられます。競馬のオッズがある程度うまく未来を予測できているのは好例です。しかも胴元を抜かした形で予測を行うことができます。

6. 銀行機能の普及

発展途上国にいる銀行にアクセスできない人に対し、銀行機能を提供できます。昨年は国連が支援金の配布で、Ethereumで大規模試験を行いました。

7.  支払い

速くて安い決済ネットワークをつくり、数円程度のお金を送金するシステムを開発しようとしています。匿名化された送金や、法定通貨の決済をEthereumを介することで「速くて安い」などを検討しています。

他にもたくさんありますが、今日はここまで。Ethereumには個人と法人の情報をセキュアに管理する新しいデータベースの可能性があります。また、そこから新しい経済が生まれる可能性があります。

しかし、イーサリアムはまだまだはじまったばかり。あらゆることを実験している最中なので、全てが実現すると考えてはいけません。多くの開発者がこのプラットフォームの可能性にチャレンジしています。

参照

Ethereum for Everyone

[Japanese] Ethereum Development Tutorial

Ethereum(イーサリアム)ガイド

吉田拓史「日本企業は静かにブロックチェーンを活用しはじめている:監査法人トーマツ」